「岩国市子どもの読書活動推進計画」とは…


 「子どもの読書活動に関する法律」(平成13年12月施行)に基づき、岩国市が策定した計画で、岩国市のすべての子どもたちの読書環境を充実させることを目指した計画です。
 平成16年3月に第一次計画、平成22年3月に第二次計画、平成27年3月に第三次計画を策定し、現在は令和2年3月に策定された第四次計画に基づき、家庭、地域、幼稚園、保育所、学校、図書館、行政及び関係団体が様々な取組を行っています。なお、令和6年度現在、第五次計画を策定中です。

「岩国市子どもの読書活動推進計画 (第四次)」

 ここでは、「岩国市子どもの読書活動推進計画(第四次)」に基づいて、令和5年度に行われた、子どもの読書環境整備のための様々な取組や活動を紹介します。

1.家庭・地域での取組
2.幼稚園・保育所での取組
3.学校での取組
4.市図書館での取組

1.家庭・地域での取組

ブックスタート

 ブックスタートとは、赤ちゃんと保護者に絵本を開く体験といっしょに絵本を手渡し、心ふれあうひとときを持つきっかけをつくる活動です。
 岩国市では、子どもの心豊かな成長を支援するため、関係課・関連団体・ボランティアと連携して、平成23年7月13日より本事業を開始しました。岩国市保健センターで、1歳6か月児健診を受診する親子一組一組に絵本の読み聞かせをし、子育てに関する情報などをお伝えしています。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、令和5年度はブックスタートパックの配布のみ。773組の親子に絵本を手渡しました。令和6年度も引き続き配布のみの実施ですが、今後の読み聞かせの再開を目指して調整を進めています。

 「この絵本はお持ちですか?」

 「袋の中には子育て情報が入っています」

 「絵本をお子さんと一緒に楽しんでくださいね」

プレゼントの絵本は、関係課やブックスタートボランティアの意見を取り入れながら選定します。

ブックスタートパック

私設文庫(家庭文庫)

  個人が地域の子どもたちに本と出合う機会を提供するために家庭の一部を開放して設置した読書施設のことです。岩国市内には、文庫「そらいろのおうち」(尾津町)、「まつたけ文庫」(美和町)の2つの文庫があります。

地域文庫(市内文庫)

  児童図書を備え付けて地域の子どもたちに貸し出す活動及び組織のことです。地域ボランティア会員により運営されています。岩国市内には、ひがし文庫(働く婦人の家1階)、川下くすのき文庫(寿供用会館1階)の2文庫があります。 (灘さざなみ文庫は令和5年度末で閉館)

♪地域の活動いろいろ♪

・「乳幼児学級」(地域の供用会館など)や「子育てのつどい」(保健センター) などのイベントでは、母子保健推進員などが、乳幼児と保護者を対象に絵本の読み聞かせを行いました。

・「子育て学習会」(市内小学校)では、童話作家や児童文学研究者を講師に本に親しむことの大切さについて講演を行いました。

こども館児童館に来館した親子に「にこちゃん広場」「うさちゃん広場」で読み聞かせを実施したり、絵本の紹介をしたりしました。

・いわくにっこ

 親子のための地域情報誌「いわくにっこ」を年3回発行(生涯学習課)
  小学生向けの行事などをお知らせしています。
 「図書館員のおすすめ本」の記事もあります。

                 

ホンスキー

図書館では、読書活動に関する情報提供として、広報誌「こどもとしょかんだより」や「子育て本」などの各種ブックリストを発行したり、ホームページに図書館サービスや行事の案内を掲載したりしています。

2.幼稚園・保育所での取組

 各幼稚園・保育所では、乳幼児期から絵本や物語に親しむため、日常的に絵本や紙芝居などの読み聞かせを実施しています。また、絵本から絵画・工作・歌などの表現遊びに発展させた保育をしています。

今津幼稚園

ホンスキー

先生が読み聞かせをしている様子かな。みんな静かに聞いているね。

くろいそ保育園

朝・夕の読み聞かせタイムです。早出・居残りの子どもたちがお話を聞いています。

昼食後の読み聞かせタイムです。お話が終わってからそれぞれの活動を始めています。

移動図書館や貸出しの絵本などが置いてあり、 自由に手にとって見られるようにしてあります。

ホンスキー

絵本を手に取りたくなるような、すてきな棚だね!

★さまざまな取組

・1対1での読み聞かせの時間を作っている
・子どもが自分の読みたい絵本を選んで読む時間を作っている
・絵本コーナーを設置している
・家庭への絵本の貸出しを実施
・園だより等でクラスでの人気絵本・図鑑ランキングを知らせる
・本読みノートを作成し、親子で絵本に触れ合うきっかけづくりをしている
・子どもが好きな絵本を題材にして、劇遊びにして保護者に発表する
                               など

ホンスキー

家庭でも本に親しんでもらうためには、保護者への啓発活動も大事だね。

・幼稚園・保育所への絵本の長期貸出サービス(図書館)

  岩国市図書館では、幼稚園・保育所を対象に、貸出期間を約1年とした、絵本や図鑑の長期貸出制度を実施しています。すべての子どもたちが、自由に本と出会うことができる読書環境を整備するために、平成16年度から継続しています。
 令和5年度は、19園3,410冊の絵本や図鑑などを貸し出しました。 

3.学校での取組

・読書の時間を設けて全校読書を行ったり、学期ごとに図書イベントを行ったりして、児童生徒が読書に親しむ機会を持てるよう取り組んでいます。

・学校図書館の円滑な運営のために、学校司書を配置しています。教員や図書委員との連携により、推薦図書や季節の図書コーナーの設置、図書館だよりの発行等、本がより身近に感じられる学校図書館の環境づくりが進められています。令和5年度は、公立小中学校44校のうち30校へ兼任で学校司書15人が配置されています。

・地域の読み聞かせボランティアによる読み聞かせの実施や、家庭での読書を推進する「うちどく」の取組を行うなど、地域との連携も進めています。
 

平田小学校

読み聞かせボランティア「かいどう」さんによる読み聞かせ。全学年にしていただいています。

読書週間での図書委員会による読み聞かせ。低学年の子ども達も聞き入っています。

 

冬恒例のおみくじ。2冊借りた人が引けます。キラキラの大当たりを引くと、特製のしおりがもらえます。

ホンスキー

おみくじ!子どもたちが本を借りたくなる楽しいしかけだね

由西小学校

月に1回、地域の方による「読み聞かせ」を行っています。毎回、2つの紙芝居を読んでくださいます。紙芝居後には、児童が紙芝居のおもしろかったところを一人ずつ地域の方に伝えています。

2週間おきに周東図書館から移動図書館がきます。学級の本、個人の本を借りることができ、児童は毎回、とても楽しみにしています。

ももにゃん号、楽しみに利用してくれてうれしいな。

平田中学校

朝の読書の様子です。本校では朝8:05~8:25に朝の読書の時間を設定しています。また、給食配膳時間にも読書をしているので、
1日に30分間は本に向き合う時間が確保されています。

山口県立図書館で考案された読書活動である「ライぶらり」を図書室で実施したときの様子です。本校では図書室の開館は昼休みのみのため、なかなかゆっくり図書室で本を手に取ることができない生徒達は同じグループの人と会話をしながら様々なジャンルの本に触れることができました。
写真は本を選んでいるところです。
※ライぶらり…図書館を散策して面白そうと思った本を選び、なぜその本を選んだのかを短時間で紹介しあう読書活動。

図書委員会の活動で、「図書委員、図書担当教員のおすすめの本の1行目」を紹介しています。図書室に訪れる生徒に、興味をもって本を手に取ってもらうことをねらいとしています。別の月には、「自分の成長に役立つ本」、「お気に入りの本に帯をつけよう」など、定期的に内容を変えながら、本を展示しています。

いろいろな方法で本を展示しているんだね。写真の 「おすすめ本の1行目」、気になって本を手に取りたくなるね♪

・教育支援教室 
 岩国市では、不登校児童生徒への支援と教育相談活動に取り組んでおり、横山・周東・由宇・美和に、教育支援教室を開設しています。

 各教育支援教室では、施設内の学習室などを利用し、読書もできる環境作りを推進しています。

 また、図書館の団体利用(50冊まで30日間貸出が可能)を活用し、児童生徒の読書環境を充実させています。

市図書館での取組

・学校や市内の子どもの読書に関わる団体への支援
 図書館の活用を促すとともに、本と接する機会を提供し、読書の楽しさを伝えるため、類縁機関への支援をしています。
 

 幼稚園・保育園・小学校・中学校・高等学校へ「岩国市図書館サービスハンドブック」を毎年配布し、調べ学習用資料や自由読書用図書の貸出し、施設見学・体験学習の受入れなど、学校への図書館サービスを案内しています。
 また、市内団体による読書活動を支援するため、大型絵本やパネルシアター、おはなし会の小道具等の貸出しをしています。

・施設見学の様子

本郷小学校

平田小学校

錦小学校

・職場体験学習の様子

灘中学校

ホンスキー

「ヤングアダルトコーナー」の展示をしているところです。展示する本を集めたり、看板を作ってもらったりしました。

・外国人の子どもたちへのサービス
 外国人の子どもたちを対象に、諸言語の児童向け資料の充実に努めています。令和5年度は、英語の絵本を21冊購入しました。市内図書館全体で、1,210冊の所蔵があります(令和6年11月現在)。

英語の絵本

・中高生へのサービス
 図書館ホームページの「ティーンズのページ」で、新刊情報、市内各図書館のヤングアダルトコーナー紹介、学習室案内などの情報発信をしています。

 また、毎年7月に『夏休みに読んでみましょう中学生・高校生版』を発行、配布しています。

・乳幼児へのサービス
 中央図書館では、毎月第2・4木曜日の午前中を「乳幼児の日」としています。子どもたちに小さいときから本に親しんでもらうため、乳幼児を連れた保護者の方が気軽に図書館を利用できるように設けたものです。
 

 乳幼児の日には毎回行事を行っています。「ちいさい子のためのおはなし会」「わらべうたであそぼ」のほかに、「かんたん工作とおはなし会」などを実施しました。また、他に行事予定がない時は、職員による「こぐまちゃんのおはなし会」を開催しました。

ちいさい子のためのおはなし会
トッキーさんの「わらべうたであそぼ」

かんたん工作とおはなし会
こぐまちゃんのおはなし会

子どもと本を結ぶための活動

・各図書館のおはなし会


おはなし会には、乳幼児対象のものと、幼児・小学校低学年を対象にしたものがあります。毎月定例で行われるおはなし会もあれば、不定期で開催されることもあります。

 

麻里布分室
錦図書館
美和図書館

 クリスマスおはなし会スペシャル(麻里布分室/不定期開催)

令和5年度の図書館でのおはなし会は、不定期開催のものも含め、市内全図書館で201回、合計1,984人の参加がありました。

・本の展示

館内に展示コーナーを設けて季節や話題の本を展示し、子どもたちに様々な本と出会う機会を提供しています。

図書館のホームページでは、各館の毎月の展示を写真付きで紹介しています。

トップページ「展示」タブを選択してください。

子どもの読書活動に関する啓発活動

読書や図書館について興味・関心を持ってもらうために、様々な講座やイベントを開催しました。

・小学生向けの講座

 「夏休みこども司書体験講座」を中央図書館・麻里布分室で4回開催し、あわせて14名の参加がありました。


「英語でおはなし会」(中央図書館)は好評のため、回数を2回に増やして8月と12月に開催。合計44人の方が参加されました。

  
 4月の「こどもの読書週間」や10月の「読書週間」に合わせて、子ども向けのイベントを行いました。

ホンスキーぬりえ

ミニブック作り(読書週間)

ホンスキー

ほかにも、玖珂図書館や由宇図書館でクイズを実施したり、「ホンスキー顔はめパネル」が登場したりしました。

子どもの読書に関する大人向けの講座

・おはなし会<ステップアップ>講座
 令和5年度は、安田女子大学非常勤講師の小林いづみ先生を講師に迎え、「子どもたちをおはなしの世界へ-ストーリーテリングをはじめてみませんか?」というタイトルで講座を開催しました。子どもの読書に関わる活動をしている方19人の参加がありました。


・おはなし会<ボランティア養成>講座

読み聞かせボランティアを始めたい方や、始めたばかりの方を対象にした、おはなし会の基礎を学ぶ講座です。
受講後は、中央図書館おはなし会ボランティア「えほんのじかん」の会員として活動することもできます。

令和5年度は6名の方が参加されました。

ボランティアによる活動(中央図書館で活動されている団体より)   

・えほんのじかん 

 毎週土曜日(第2土曜日を除く)と日曜日の14:00~14:30に絵本や紙芝居の読み聞かせ等をしています。令和5年度は、計822人/84回の参加がありました。※第2土曜日は職員によるおはなし会を開催

 平成12年、11名の会員でスタートしました。現在28名の会員で活動しています。

えほんのじかん

・布絵本の会 

 布絵本とは、全てが布でできた絵本です。子ども自身が触れたり、動かしたりして、お話を楽しむことができます。毎月第3水曜日の10:00~12:00の定例会を行い、図書館所蔵の布絵本の作製や修理をしています。

 平成17年、17名の会員でスタートしました。現在9名の会員で活動しています。

布絵本

・地域文庫(市内文庫)運営ボランティア 

 地域の小さな図書館として親しまれている市内2つの地域文庫(市内文庫)では、それぞれ、ボランティアによる本の貸出・返却・整理やおはなし会などの行事が行われています。

 現在、それぞれ、ひがし文庫34名、川下くすのき文庫16名のボランティアにより運営されています。

川下くすのき文庫

・岩国点訳あすなろ会 

 子ども向けの活動として、図書館で購入した絵本に透明な点訳テープを貼り付けた「点字絵本」の作成をしています。

 昭和51年、約25名の会員で発足。図書館の点字図書の作製をしています。

点字絵本

・ブックスタートボランティア 

 ブックスタート会場で、親子一組一組に絵本の読み聞かせとともに絵本の魅力を伝えています。

※令和2年度からコロナ禍のため活動は見送り。現在、活動再開に向けて調整中です。

・障がいのある子どもたちへのサービス
 図書館では、市内特別支援学級の施設見学・おはなし会を実施しています。また、岩国点訳あすなろ会、布絵本の会の製作された点字絵本・布絵本を整理し、貸し出しています。

特別支援学級のおはなし会
布絵本コーナー(中央図書館)

中央図書館の児童書コーナーには、点字絵本・LL ブックコーナーがあります。
※LLブック…知的障がいなどがある人にも読みやすいよう、やさしい言葉でわかりやすく書かれた本

・広域サービス(自動車図書館の巡回)
 中央図書館発周東図書館発の2台の自動車図書館が2週間おきにステーションを巡回しています。

 ・巡回ステーション(順不同)

中央図書館発杭名小学校、通津小学校、のんびり村通津、東供用会館、小瀬小学校、装港小学校、
愛宕小学校、柱野小学校、御庄小学校、東小学校、北河内認定こども園、本郷小学校、
藤河小学校、中洋小学校、くろいそ保育園、河内小学校、川下小学校、美和小学校、
宇佐川小学校、旧深須小学校、灘海園
周東図書館発周北小学校、川越公民館、米川小学校、だんけぐーと(千束)、周防病院、由西小学校、由宇小学校、神東小学校、
わかば保育園、秀東館、だんけぐーと(有延)、岩国小学校、修成小学校、ながの保育園、川上小学校、川下出張所、
久楽荘、そお保育園、そお小学校、祖生公民館、玖珂苑、高森苑、天尾小学校、美川苑、美川小学校、
(令和6年10月現在)

  
 

中央図書館発自動車図書館
周東図書館発自動車図書館(ももにゃん号)

      

図書館では、子どもたちに本との出合いを提供し、読書の楽しみを伝えるため、これからも様々な取組をしていきます!

みなさんもぜひお近くの図書館に足を運んでみてくださいね。